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「何かが違う」
2007/10/27(土)  
 

浦安対名古屋の試合を見ながらそう思っていた。Fリーグの第4節まで全16試合のうち、9試合を見てきたが、それまでの試合と比べると、お互いが40分間を意識した試合をしていたと感じられた。両チームとも10分未満の出場選手が2人だけという事からも、一部の選手だけに頼る戦い方ではなく、ここぞというときには主力に頼るが、それ以外の部分では2番手の選手を使う頭脳と勇気を監督が持ち合わせていた。

特に浦安は、名古屋のフィジカルの質に、豊富な選手層の量と稲田を有効に使った戦術の質で対抗した。名古屋のハイプレスをさせないために、無理に低い位置からボールをまわさずに、稲田を前線に張らせてシンプルに当てる方法は、「スペイン人はピヴォ当てしない」という、個人的にはできれば信じたかった迷信を、見事に打ち砕いてくれた。さらに、残り4分からのパワープレーも当初からの計画であり、指示が無くても選手たちが実践でき追いつけた事は、シト監督が40分間の使い方がわかっていたからできたのだろう。

一方の名古屋も、オスカー氏に代わりマリオ新監督が就任した事でスタイルが一新された。一言で表すならば「動くフットサル」だが、その質はとても高い。大学院でフットサルを学んだだけでなく、現在のブラジルやスペインのリーグ戦の映像を独自ルートで入手して、しかもそれらのゴールシーンや印象的な場面などを、自分で編集しているのだから、彼の引き出しはおのずと増えている。来日してからまだ3ヶ月だというのに、思いついた練習や戦術は30以上にもなる。それだけに、その中から厳選された戦術を選手たちが吸収するには、とても時間がかかるのは言うまでも無く、この試合で表現されたのはマリオ監督の中のごく一部といえる。

この両者の戦いを見て、日本のフットサルも新しい時代に突入したと感じた。「スペイン対ブラジル」と試合後にマリオ監督が表現していたが、監督の色が明確に出た事がこれまでと違う「何か」の1つだった。

新しい時代になってきたが、優れた監督が来た次は、選手がどれだけ実践できるかにかかってくるだろう。しかし、まだまだそう簡単にはいかない部分がまだある。
ちょうど1年前、会社を辞めてスペインへ行き、ブーメラン(現インテルビュー・ファデサ)vsエルポソの試合を取材した。この試合は1つのミスも許されない状況が続いたが、それでも選手たちは安全策に走らず、積極的に仕掛けていた。シュマイケルやアンドリューはサイドから1対1を仕掛けるが、彼らでもそう簡単には抜けず、奪われる場面のほうが多かった。それでも、ただ奪われてカウンターを食らうのではなく、反則覚悟で手や体を使って、エルポソの攻撃を遅らせた。そして、1度抜けなくても、サイドで1対1の場面になれば、2度、3度とどんどん仕掛けた。アウェイのエルポソもリードされた後は、フィクソのキケがきわどいコースを狙ってスルーパスを出して、チャンスを作った。

これら1つのプレーをミスすれば失点につながってしまうのだが、彼らはミスをせず、しかもミスを恐れずチャレンジし続ける。ロシアンルーレットだけれども、絶対に失敗しないという自信がある。観客は1つ1つのプレーに騒ぐが、ピッチ上には冷たい張り詰めた空気が流れているようだった。それがもう1つの違う「何か」だった。

1つのミスが試合を左右するほど厳しい戦いは、まだ残念ながらFリーグでは見られない。「良い試合だったけど、これで満足せずにプレーの質を上げなければ、代表のレベルアップにもつながらない」と試合後にフットサル専門でないあるTV関係者が言っていた。

「今のままでもFリーグは十分面白いが、それはFリーグが面白いというよりも、フットサルそのものが魅力的で、リーグが競技に助けられている状況」と開幕後に甲斐修侍(町田)選手がインタビューでそう語っていた。私が思っている事を、選手が既に自覚しているのだから、日本フットサル界の未来は明るいと期待している。


文/ 杉浦 文哉

ライタープロフィール

杉浦 文哉(すぎうら あやかな)
1975年、千葉県生まれ。
2005年からフットサルの取材を始め、以後2シーズン関東リーグは皆勤賞。
2006年は関東以外に、東海や関西リーグにも足を運び、1日で関西リーグと東海リーグをはしごした経験を持つ。また、スペインで小野大輔対鈴村拓也、木暮賢一郎対鈴村拓也の日本人対決を、ポルトガルでは日本代表の遠征を観戦した数少ない1人。
2007年はインターコンチネンタルカップを取材。名古屋オーシャンズの惨敗を焼き付けた。
主な掲載先は、
・フットサルダイジェスト、週刊サッカーダイジェスト(日本スポーツ企画出版社)
・フットサルナビ(白夜書房)
Fリーグが中心だが、Jリーグや高校サッカーにも活動を広げており、「職業、サッカー選手」(ノースランド出版)を執筆。



※フットサルタイムズでは今後も杉浦 文哉氏のコラム・レポートを継続的にお届けしていく予定です!お楽しみに!(^^)/


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