Fリーグ第16節湘南×浦安戦詳細レポート

　前節・名古屋との首位攻防戦に敗れ、勝点が５に開いた２位の浦安と、北九州開催の連敗で４位に転落した湘南。どちらも"さらに上"の順位を狙っていくために、負けられない戦いが続く。特に浦安に関してはFリーグの"灯"を消さないためにも勝ち星が求められた試合だった。

　しかしその浦安はフットサル日本代表キャプテンの?藤井健太と、13得点でFリーグ初代得点王争いの２位につける?稲田を欠く布陣。?市原選手も試合後、「正直攻め苦しんだ」と語ったとおり、この日の浦安の攻撃はどこか迫力不足。「内容が悪くても勝てる試合がある」「スコアは３?１でも内容は引き分けに近い」とシト監督も手放しでは評価をしなかった。

　それでも「湘南が前からプレスをかけてきたときなど、我々のやりたいプレーをさせてもらえなかった」(浦安・シト監督)時間帯がありながらも、そこで崩れず、自分たちのリズムに戻った時間帯で得点を重ねられるあたりが、さすがは優勝を争うチームといったところか。
　シト監督も「経験のある選手が、試合をコントロールしてくれた」「ピッチにいる選手たちは集中して、やるべきことをやった」と最後には、いつものように選手たちを称えた。

　先制したのは湘南だった―。

　お互いチャンスをつくりながらも浦安?川原、湘南?阿久津の好セーブもあり、ゴールが遠かった。しかし14分、左サイドの奥でボールを受けた湘南?篠崎がディフェンダーを後方に切り返して、かわす。そして左足アウトフロントで、ゴール方向にフワリと浮かせたボールがゴールに収まる。
　関東リーグでもその"ファンタジスタぶり"から高い注目を集めていた?篠崎が、相手ディフェンダーの懸命さを逆手にとってあざ笑うかのようなシュートを冷静に決めて、１?０。試合の均衡を破った。
　一方の浦安は19分、左サイドの?高橋がゴール前、逆サイドに送った浮き球を?中島がシュート。ボールはポストに当たって跳ね返るが、こぼれ球を?中島が確実に押し込んで、１?１。前半の内に追いついて、後半に向かう。

　湘南は前節の町田戦でも前半終了間際に、試合を左右する失点をしてしまっていただけに、気をつけたかった時間帯のハズ。しかしゲームを通じて高い集中力を保てなければ、"時間帯"に関わらず、失点を浴びてしまうほど、フットサルはタフなゲームということだろう。
　湘南は３失点目も、ゴールスローを前線の?稲葉につながれたモノ。このゴールも湘南ディフェンダーが、攻から守への切り替えが遅れたことが原因と言える(リードされていたので攻撃に意識が行くのは当然で、『集中力が切れていた』というのは酷だろうけれど･･･)。裏を返せば、浦安?稲葉がディフェンダーより早く攻撃にスイッチを入れたこと。そしてそれに呼応して?川原がピンポイントでパスを送った浦安の好プレーから生まれたゴールだった。
　Fリーグに入って、浦安は?川原からのゴールスローやロングキックで一気に最前線を狙うシーンが目立つ。目立つだけでなくゴールにもつながっている。守備でも"スーパーセーブ"を連発する川原だが、こうした"攻撃意識の高さ"で、攻撃・得点でも大きな力を担っていると言える。

　得点経過が前後してしまったが、浦安は34分に、(この日、２アシスト目となる)?高橋が中央から左に振ったボールを?稲葉がダイレクトでシュート。これが決まって、２?１と逆転に成功。そこから湘南の攻撃(意識)が前がかったところで、36分に、?川原からのゴールスローが?稲葉につながって、浦安の３点目が決まる。

　37分から、湘南は?大地をゴレイロに入れてパワープレーを開始したが、その後はお互いにゴールが生まれなかった。

　ケガ、コンディションなどの理由で、?伊久間、?ジオゴ、?野嶋、?奥村らを選手登録しなかった湘南(ジオゴはコーチとしてベンチ入り)は、これでチームがFリーグ始まって以来の３連敗。守備でも、攻撃でも、いいカタチをつくっていて、朴監督からも「ちょっとした差」「運に見放された部分もあった」というコメントも出たが、その通りだったと思う。
　ただ、ここに来てのチームの失速(３連敗)には何らかの原因がありそうで、それは上記のようなコメントで片付けてしまうとしたらマズイだろう･･･。"ちょっとした差"がどこにあるか？強いチームはそうした"差"や"隙"を確実についてくるモノだと思うが、湘南がそういうチームになるにはどうすればよいか？今後の試合、来シーズンに向けても、湘南がしっかりと答えを突き詰め、"差を埋めた"姿を見せてくれることを期待したい。

レポート・北谷仁治

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