町田の善戦及ばず。ヴィニシウスのゴール守り、大阪が辛勝

大阪が勝利を収め、関西セントラルで初めて、関西の２チームが揃って「勝利」を挙げた。

前半、どちらかと言うとペースを掴み、シュートチャンスも多かったのは町田。しかし寸前のところでイゴールが的確にセーブし、町田にとっては今日もゴールが「遠かった」―。

　対する大阪も大阪らしい「パス回し」は影を潜めた。町田のディフェンス云々よりも、前・縦に急ぐパスが目立った。これが相手のカウンターを招いている場面もあり、なかなか自分たちのペースを掴めない様子だった。

　パスは回すだけでは恐くない。ただ無理・不用意な仕掛け、縦パスは相手のカウンターを招く。このバランスが難しいところだ。大阪はドゥダ監督の下、新しい戦術に挑んでいるようで、その影響もあってか、攻撃のスムーズさを欠いていた。

　後半、15:51 町田はコーナーキックから、９.横江のミドルがゴール右下を捕えたが、これも大阪ゴレイロ・イゴールが掻き出し、ノーゴール。町田は前半も含め、セットプレーからフリーでシュートまで行く場面があったが、精度を欠く場面もあった。いまのFリーグを見ていると、キックイン・コーナーなどのセットプレーではゴール前をディフェンスで固める場面が目立つ。必然的に空いている遠目や逆サイドから、ズドン！とシュートを打つ場面が増えてくるが、ここで名古屋のサカイや府中の山田ラファエルのように、強烈で的確なシューターが居ると居ないでは、大きな差になっているように感じた。

　大阪のゴールは、13:30。22.佐藤のミドルシュートがバーに当たって跳ね返ったボールを、10.ヴィニシウスが遠目から、押し込んだ。

　03:19 タイムアウトを取った町田は５.甲斐をゴレイロにパワープレー開始。こちらはゴールの匂いを感じさせたが、大阪が守りきり、１－０のままタイムアップ。大阪がなんとか勝利をもぎ取った。

●町田・関野監督コメント

非常に悔しいゲームでした。前半は最低でもイーブンでいい。後半に試合を決めるポイントが来ると話していました。大阪に対してはカウンター、切り替えの速さを意識した練習をしてきました。イゴールという素晴らしいキーパーが居ますので、点を取るためには、逆サイドに詰めるといった対策をしてきましたが、なかなか点が取れなかった。主導権を握りながらも勝つことができない。そんな試合が続いてしまっている。そこが一番の問題・課題だと思います。

●町田・大地キャプテンコメント

カウンターの精度の低さ、相手のディフェンスを崩しきれなかったのが敗因だと思います。

タイムズ「１点が遠い試合だったと思います。イゴール選手の存在もあると思いますが、他の要素も含めて、今日ゴールできなかった要因は何だと思われますか？」
関野監督「イゴールの存在が８割方くらいあるのではないかと思います。後はいま、大地が言ったように崩しきれなかったこと。シュートの精度もあると思います。前節まではリーグの中で、ウチが一番シュート数が多い。ただ得点の匂いのするシュートか、そういうところも考えていかないといけないと思います」

タイムズ「セットプレーでフリーでシュートまで行く場面がありました。セットプレーはいまウェイトをかけて練習していますか？あと、ミドルシュートを打てる選手が手薄に感じるのですが、どの選手に期待していますか？」
関野選手「サインプレーに関しては必ず毎週時間をかけてやっています。ミドルシュートに関しては横田、滝田あたりになると思いますが･･･。ミドルレンジから打たないといけない状況ではいけないと考えています。イゴールのような選手に対し、遠目からのシュート１本では厳しい。サイドを破って、逆サイドで合わせるなど、ゴールの近いところで、枚数をかけないといけないと思っています」

●大阪・ドゥダ監督コメント

難しい展開になりました。練習してきたものが出なかった。ディフェンスも難しかった。攻撃に関しても冷静さを欠いて、簡単なシュートが決めれなかった。

●大阪・村上選手コメント

練習でやってきた戦術、セットプレーがなかなかうまくできませんでしたが、大分戦に続いて、選手たちがハードワークすることで勝てた。チームの力だと思います。

タイムズ「"練習してきたもの"を具体的に教えてください」
ドゥダ監督「アプローチについて。ゲームを呼んで抜けていくこと。味方にプレスがかかっているのに、長い距離を前に抜けていく場面があった･･･」

●大阪・佐藤選手コメント

タイムズ「試合を振り返って･･･」
佐藤選手「自分たちで難しくしてしまった。カウンターのチャンスなどを決めきれないのが課題かなぁと」

タイムズ「大阪らしいパス回しが見られなかったように思いますが、要因は？」
佐藤選手「いろんな形にチャレンジする中で、うまく形になっていない。監督の求めることだけになってしまっている。サポートが後ろ後ろになってしまい、裏を狙えていない。あといまセットが固定されていないので、連携が成熟していないというのがあるのかなぁと、個人的には思います」

●大阪・イゴール選手

記者「試合を振り返って」
イゴール選手「苦労した。戦術がはまってくれなかった。技術的な点と言うよりも、戦い方がはまってなかったと思います」

タイムズ「後半、町田がシュートを外したら、イゴール選手が素早くゴール前にフィードする場面が目立ちました。ハーフタイムでチームで話していた？」
イゴール選手「いいえ。普段の練習からみんなで話し合って、ボールをとった後、すぐに投げられるのは、相手も戻らないといけないので嫌なので。(前に)投げれなくてもディフェンスが下がるので」

タイムズ「大阪らしいパス回しが見られなかったように思いますが、要因は？」
イゴール選手「町田どうこうでなく、チーム全体の調子が悪かったと思います」

●町田・甲斐選手コメント

タイムズ「試合を振り返って？」
甲斐選手「試合前からロースコアになるだろう、大阪はイゴールも居るのでゴールするのが難しい、我慢の試合になると話していた。イゴールもそうですが、僕らの得点力も含めてしんどい試合でした」

タイムズ「前半は町田の方がペースを掴んでいる感じでした。こういう試合が続いているとのことでしたが･･･」
甲斐選手「どのチームとやってもこういう感じで、後半になると崩れる感じで･･･。今日は後半１点取られても崩れるメンタリティでは無かったが･･･。やはり得点しないと勝てない。力不足だと思う」

タイムズ「甲斐さんから見て、今日、得点できなかった要因は何でしょう？」
甲斐選手「もっとゴールまでのイメージを共有しないといけないと思う。だいたいとか、これかも･･･でなく、シュートを打つ人、周りの人が明確なイメージを持ってやらないと」

タイムズ「今後については、内容は悪くないのでこのまま続けるのがいいのか、どこか変化をつける必要があるのか？」
甲斐選手「勝っているチームであれば、さほどへこむ必要は無いと思うが、勝てないチームが今日また同じようなゲームをしてしまったことで、問題はあると思います」

タイムズ「17歳のプレーヤーも出てきています。甲斐さんがプレーで気をつけていることはありますか？」
甲斐選手「ケガをしないことですね。去年はケガも多く、パフォーマンスが上がらなかったので」

レポート：北谷仁治