北海道強し、大阪は･･･/Fリーグ３節レポート

大阪が先制も北海道が追いつき、前半１－１。後半、北海道が２点をリードしたが、ホーム大阪も粘り、３－３の同点に追いついた。

大阪はイゴールが復帰。しかし100％で無い状態は見ても明らかで、裏へのボールへの出足や反応が今ひとつ。

序盤はホーム大阪、アウェー北海道とも、セーフティな立ち上がり。ボールを回しても、リスクをかけて前線の攻撃に厚みをかけない。

どちらかというと北海道のチャンスが多い中、先制したのは大阪。17:27 こぼれ球を30.松宮が押し込み、１－０。

17.水上、累積空けの20.仲村らがチャンスを掴んでいた北海道は、14:05 17.水上のゴールが決まって、大阪ホームの会場は静まり返る。その後も決定機が多かったのは北海道。９.菅原がフリーキックの時、ピンポイントで登場するなど、小野寺監督の細かい采配も目立つ。

一方の大阪は、13.一木が相変わらず細かい足技を披露したり、14.林の意表をつくシュートがポストを叩くなどしたが、ペースを掴めない。この日の先発は、19.瀬戸、22.佐藤、24.村上、30.松宮。「先発を固定するのは良くない」(アドリアーノ監督)とのことだが、いつものファーストセットを崩して、交代も２人ずつ。「前節からの流れを変える必要があった」と、こちらは采配に"迷い"も感じられた。パスがいつもより回らないだけでなく、ボールを失ったときの切り替えで北海道の選手に遅れを取り、裏へのボールを通されてピンチを招くシーンも目立った。

気になったことが２つ。個人的に、北海道は"ピヴォ当て"に脆い印象があったが、この日の大阪は、８.永井、11.ドゥダといった前線で張るタイプのピヴォを重用しなかった。もうひとつ。ボールが一番回ったのは、やはり、13.一木、14.林、19.瀬戸、30.松宮。いつものファーストセットが揃ったときだった(ように思う)。しかしその後、この組合せを引っ張ることも、もう一度組み合わせることもしなかった。個人的には、そういう点から、采配にも"冴え"を感じることができなかった。

１－１の同点から。後半先手を取ったのは北海道。18:22 ６.嵯峨の右サイドから対角へのシュートを決めて、２－１。さらに17:45には、一度は防いだかに思えたボールを、イゴールが後逸するような格好で失点し、１－３。悶絶するイゴール。イゴールは負傷でまたもピッチを去ることになる。試合後の松宮の話によれば、「ポストに当たって跳ね返ったボールが伸ばした指を直撃した」ようだ。ケガから復帰したばかりのイゴールが、またもケガでピッチを去る。先日のオーシャンアリーナカップに続き、悶絶するイゴールを(デジャヴのように)見た者は『ついてない･･･』どころの感情では無かっただろう。１試合も早い復帰を待ちたいが、こうなると焦らず、完全復活まで待ちたい気もしてくる。

２点差に開き、大事な守護神も失った大阪。正直『終わった』感もあったが、30秒足らずの、17:22 ゴール前で受けた19.瀬戸が落ち着いて、右にディフェンダーをかわしてシュートを決め、２－３。反撃ムードを盛り上げる。重たい空気となりそうな状況の中で、冷静なプレーとゴールだった。大阪は３点目も、シュートに打てるシーンをもう一度逆サイドに振って確実にゴールに入れるのだが･･･、こうして"もう１本パスを足して"確実にゴールするところは、マグ時代を彷彿とさせる、大阪らしい、フットサルらしいゴールで素晴らしい。

しかし一方で･･･、１－２とされた後、30.松宮からの完璧なサイドチェンジのパスを14.林が外したり、09:56 逆サイドからのシュートパスに飛び込んだ30.松宮がフリーで合わせながらも決め切れなかったりと、少なくとも決定的な場面を２回も外してしまったのはいただけない。もうひとつ。大阪はミドルシュートの精度が低い。低いだけでなく、打てるタイミングで打てていない。打たないからシュートもうまく、強くならないのだろうが、シュート数、特にミドルシュートの数を増やすことが、得点力不足解消のひとつのカギになるような気がした。

04:51 ホーム大阪は、左24.村上のシュートパスを、30.松宮が体で押し込む形で、３－３。貴重な同点ゴールを奪い、会場のボルテージは最高潮に達する。終了間際は、大阪、北海道、大阪とカウンターを応酬しあうも、お互い追加点ならずでタイムアップ。チャンスとピンチが行き着く間もなく入れ替わる、フットサルらしい、スペクタクルな展開のまま、試合終了となった。

試合後の記者会見で、北海道の小野寺監督は、「尊敬する大阪」という表現を使った。具体的には「パスを回してというスタイルが自分たちと似ていると思うし、ボクが目指すフットサルをしている」と大阪を評した。確かにパス回しと言う点では大阪と北海道は似ているように思う。しかし、運動量といい、切り替えの速さといい、この日いいフットサルをしていたのは、むしろ「大阪を尊敬している」という北海道の方だった。これで昨季の１～３位のチームと対戦しながら、１勝２分の負けなし。今後は一気に勝点を積み重ねていく可能性も高い。

一方の大阪は、メディアの間では名古屋に次ぐ高い評価をもらいながら、２節・アウェーで浦安にあっさり黒星を喫すると、ホーム初戦も辛うじてドロー。完全に"スタートダッシュに躓いた"。チームが上向く要素を質問してみても「団結力。選手が集中して勝ちたい気持ちを持って戦うこと。練習から集中してやりたい」(13.一木)、「チームの調子は悪くないと思う。後は全員がホンマに１試合１試合が決勝戦のつもりで戦っているか」(30.松宮)と、精神的な部分がクローズアップされるばかりで、具体的な"変化"のイメージは湧いてこなかった。エビーニョの復帰も近いが、もう一枚、使っていない、大きなピースがあるように思えるのだが･･･。

この日は橋本大阪府知事も試合を観戦。キックオフセレモニーではイゴールの守るゴールに向かい、右上に見事にシュートを突き刺し、会場を沸かせた。「大阪のスポーツも盛り上げたい。シュライカーを応援しましょうね！がんばりましょうねー。エスポラーダ北海道のみなさんも、がんばってください！」と試合前にエールを送り、試合後、フットサルを観た感想は「サッカーの場合は、よく知らないと(中盤のボール回しなどを)楽しめないと思うんですけど、フットサルの場合は、ゴール前の攻防の連続ですから、サッカーを良く知らない僕らにとっても非常にわかりやすくて、面白かったです」とコメントした。MVPのイゴールからゴールしたことについては「狙ったところと間逆に行きました。これが竜馬が行くじゃないですけれど、夢想剣というか。思いもしないところにいくと、うまくいく」とし、ゴールした気分については「イゴール選手も手に当たりそうだったのをワザとよけてくれた感じ。でも気持ちよかったです」と答え、会場を後にした。