<font color=red>緊急提言</font> このままでいい？手を使うファウルの基準について

●手を使ったファウルの基準が変わる！？

　５/16(日)、滋賀県立体育館で行われた関西リーグの開幕戦を取材しました。２～６試合目はそれほどでもありませんでしたが･･･、１試合目のファウルの基準に、"大きな違和感"を覚えました。

　2010年４月から、"手を使ったファウルの基準が変わった"そうです。

　これはサッカーU-17が世界大会で敗れたのが、手を使ったファウルを厳密に取られたことに起因するようで、日本でもファウルの基準を"世界基準に合わせよう"という狙いのようです。
　以下は、2010年３月６日のサポティスタの記事の抜粋です。

　日本の選手は手を使ったファウルが多いというのは国際試合でも度々指摘される点であり、先日のバーレーン戦でも全20ファウルの内、手を使ったファウルが11あった。

先日のスーパーカップでも早速、Ｇ大阪がセットプレーの守備で鹿島の選手を抑えＰＫを取られたが、この問題の解消を日本サッカー全体の課題として取り組むため、今季から手を使った不正なファウルについて厳しく取っていくという。

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　また、手を使ったファウルを厳罰化するのは、「適切な守備技術の向上を目的に、今まで相手選手の体やユニフォームを掴むプレーに対して寛容すぎたのを世界基準に直したもの」だそうです。

　サッカー界でも賛否両論ある(ネットでは否定的な意見が目立つ)ようですが、今回は「フットサル」に限って考えたいと思います。

　世界基準がどこを想定しているのか？サッカーU-17の大会以外も、世界基準では手を使ったファウルが厳密に取られるのか？という点を置いておけば、ファウルの基準を"世界基準に合わせる"という考え方には大賛成です。

●フットサルがサッカーと全く同じ基準で良いか

　問題は、サッカーの基準をそのままフットサルに当てはめてよいのか？という点です。

　フットサルの世界基準も、"手を使ったファウルがしっかり取られる"のなら、それに合わせることに、個人的に異論はありません。

　ただこれまで取材してきたアジア選手権、世界選手権、2008年のワールドカップでは、先日の関西リーグのような基準では全く吹かれていませんでした。さらには今年、３月末～４月頭にはフットサル日本代表遠征を取材し、スペインリーグ、それから４カ国トーナメントを取材しましたが、そこでも同じ。もっと言えば、関西リーグ取材の前日には、AFCフットサル選手権 2010 壮行試合、日本×ロシア戦を取材・観戦しましたが、手を使ったファウルの基準に違和感を感じることはありませんでした。これはつまり、現状、フットサルでは"手を使ったファウルを厳密に取る"のは世界基準でないということだと思います。

　とすれば、方法は２つだと思います。

　１つは、フットサルはフットサルで、世界基準に合わせること。

　もう１つは、日本の基準に、アジアや世界も合わせてもらうこと。これをしないと、「正直者がバカを見る」という状況になりかねません。国内で手を使わないプレーに慣れたフットサル選手が、世界大会に出たときに通用せず大敗してしまう･･･。これでは今回の基準改正に至った、サッカーU-17の二の舞になってしまい、本末転倒です。

●レフェリーも今は手探り状態？

　少し冷静な目で見れば、まだ導入したばかりで、レフェリーの方々も基準や個々のケースについての判断が"手探り状態"というのもあるでしょう。

　壮行試合日本×ロシアも関西リーグも同じ、"手を使ったファウルをしっかり取る"というスタンスで取ったが、片方は取るべきファウルを見定めて取った。もう片方はとにかく手を出したり使ったら全部ファウルとして取った・･･･から、ファウルを取る/取らないで大きな差が出たのかもしれません。。

　とすれば、取る/取らないの基準は、試合を重ねるごとにある程度統一されていくかもしれません。

　ただその場合も、フットサル独自の基準や判断が必要になってくるのではないでしょうか。

　プレーエリアが狭く、必然的にコンタクトプレーの増えるフットサルで、手を使ったプレーを制限してしまうと、サッカー以上にプレーだけでなく、競技の質が変わってくると思います。

　ホールディングや、手で相手を引っ張るプレーが罰せられるのは、サッカーでもフットサルでも反則でOKかもしれません。
　ただピヴォが背負ったときに、DFが手でピヴォの背中を押さえつつディフェンスするのはどうでしょう？(ここを体で行ったら、簡単に反転されてしまいます･･･)
　また、ピヴォがボールを受けるときに、手を使って背後の選手の位置やプレッシャーの強度を測るのも"ファウル"でしょうか？

　重ねて言いますが、それがフットサルでも"世界基準"になるのなら、(いま、大きな違和感を感じても、)審判も選手もメディアも適応しなければならないのだと思います。問いたいのは、「フットサルにはフットサルの世界基準があるのでは？」ということです。

●日本のフットサルのために

　先にも書きましたが、関西リーグの１試合目を観ながら、ファウルの取り方に個人的にかなりの違和感を感じました。

　今週末から関東リーグも開幕します。観戦される方はぜひ"手を使ったファウルの基準"に注目してみてください。

　Fリーグも同じ基準で吹かれるということです。おそらく"大ブーイング"になるのではないかと、今から心配してしまいます。。(^^;

　関西リーグでもそうでしたが、取り過ぎるファウルに、観客は白けてしまっていました。それだけで「フットサルは面白くない」と判断されかねない方向に向かってしまっています。。

　少し話はズレますが･･･、本当にこの基準のまま進むのであれば、Fリーグのチーム・選手・監督は、地域リーグ(Jリーグでもいいでしょう)等を観戦し、ファウルの基準をチェックされることを強くお勧めします。その基準に適応する(あるいは知っておく)だけで、一巡目の勝ち星は"大きく変わってくる"と言っても過言ではありません。

　ただ、日本フットサルが世界と戦うときのことを考えれば･･･。それがいいのか/悪いのかは、(サッカーとはまた別に)大いに議論されるべきだと思うのです。

レポート：北谷仁治

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