新クラシコ第１戦。ゴレイロ前田が決勝弾/名古屋×大阪レポ

Fリーグ 2009 第３節名古屋オーシャンズ×シュライカー大阪

日時：2009年９月６日(日)
会場：大洋薬品オーシャンアリーナ

名古屋の決勝ゴール。ゴールを決めた前田は一目散にゴール裏のサポーターに駆け寄った

　期待通りの好ゲームだった。

　試合は再逆転の末、３－２で、指揮官・アジウ不在のホームの名古屋が勝点『３』を挙げた。

　名古屋は、２節同様、４.ラファエルサカイ、９.森岡、10.木暮、11.ブルノと、ゴレイロの21.川原以外は、２ndセットが先発。
　これは交代サイクルの関係で、最後に１stセットを出場させる狙いがあるようだ。対する大阪は、「基本は１stセットに、１stセットをぶつけたかった」と、アドリアーノ監督が試合直後に、２ndセットに総入れ替えする。

　前半は名古屋のゲーム。

　序盤から、12.ウィルソン、18.シジネイを軸に、大阪ゴールに迫る。５分、15.前田のミドルは大阪ゴレイロ１.イゴールが弾いて、ポストを叩く。６分、シジネイが横に流したボールは、15.前田が決めきれず。

　９分、大阪は、名古屋のサイドへのパスを13.一木がうまくカット。カウンターから７.エビーニョにつなぐが、エビーニョのシュートは枠を捉えず。

　この日の大阪は１.イゴールが乱調。自慢のキック、パスともに、前線につながらず。サポート(特に前線で起点をつくること)の遅れも手伝って、イゴールは徐々に苛々を募らせ、激しく怒りをぶちまける場面が目立ち出す。
　結局イゴールは最後まで、落ち着きを取り戻すことなく、これが最後まで大阪がペースを掴みきれない、ひとつの要因になってしまったように思う。

　15分、大阪は13.一木の落としを、19.瀬戸がシュート。名古屋ゴレイロ21.川原が弾いたボールを、12.一木が角度の無いところから、押し込もうとしたが、バーをかすめる。

　名古屋の先制ゴールは、16分、右サイドをドリブルで駆け上がったのは４.ラファエルサカイ。大阪は11.ドゥダがチェックに行ったが、ショルダーで飛ばされ、戻る間にサカイがシュート。これが逆サイドポストに当たってゴールに入る、完璧なコースで、イゴールも成すすべなしで、１－０。

　大阪は１.イゴールが攻め上がってパワープレーになるが、なかなか前にボールを入れることができない。点差以上に大きな差があるように感じさせる内容だったが、前半残り11秒、大阪はカウンターから、ドゥダが左から右にドリブルで流れる。右サイドを、大阪の選手が駆け上がったことで、名古屋のディフェンダーはスルーパス(裏)を警戒したか？できた一瞬の隙(シュートスペース)を見逃さず、ドゥダが右足を振り抜くと、豪快なシュートがゴール上段に突き刺さった。１－１。ドゥダのゴールで、大阪がスコアを戻して、前半を折り返す。

　後半、先手を奪ったのは大阪。

　21分にも、カウンターから、10.岸本がダイレクトで左前にスルーパスを送って、13.一木に通るが、一木のシュートはミートできず。惜しいチャンスを逃していたが、続けて22分、大阪は12.ウィルソンからボールを奪った、10.岸本がドリブルでカウンター。右横をかけあがった、７.エビーニョに送って、エビーニョがシュートを決める。２－１、アウェイの大阪が、逆転で、リードを奪う。

　大阪は５分にも、11.ブルノを、22.佐藤と11.ドゥダが囲んで奪ったボールを、11.ドゥダがシュートまで持っていくが、これは名古屋ゴレイロ21.川原がセーブ。

　思うように攻撃のできない名古屋は、大阪の最後尾でキープする選手に対し、９.森岡が激しく当たりに行くなど、苛立ちを感じさせる場面も。パワープレー気味に前に出るイゴールから、サイドのエビーニョへ。エビーニョがディフェンダーを引き付けておいて、浮き球をイゴールに返すなど、この時間帯は、どちらが王者かわからない戦いぶりだった。

　しかし31分、大阪に痛恨のミスが出た。

　最後尾で、30.松宮が18.シジネイにボールを奪われると、ゴレイロとの１対１を、シジネイが確実に決め、２－２の同点に。

　２ndセットのバランスを取るため、この日は２ndセットに入っていた、30.松宮。周りとの連携が、若干乱れたのかもしれないが、「自分のミス。みんなは動きが良かった」と松宮は自分を責める。

　流れの悪い時間帯にファウルを貯めてしまった名古屋。37分に、６つめのファウルで、大阪に第２PKが与えてしまう。しかしここでアジウが出場停止で、監督代行で入ったペドロGKコーチの采配が冴えた。

　これまで名古屋ゴールを守った21.川原に代えて、「私の考えでは、サダは第２PKのスペシャリスト」と言う１.定永をゴールマウスに送る。
　定永がこのピンポイント起用に応えて、大阪７.エビーニョのシュートをブロック。２年間、名古屋のゴールマウスを守り抜いた守護神・定永の出場・活躍は、誰もが待っていたのだろう。この瞬間、ホーム名古屋のサポーターからこの日一番の大歓声が起こった。

　残り２分半、タイムアウトを取った名古屋は15.前田をゴレイロに入れて、パワープレー開始。

　サイドで張る18.シジネイを最も警戒する大阪の守備は、押し込まれていても、真ん中が空く、恐い状態だった…。

　「リスクを犯すな」という指示で、左右にパスを散らすことに徹していた前田だが、残り26秒、真ん中がポッカリ空いた隙を見逃さず、右足を振り抜く。前田のこの渾身のシュートが決まって、３－２。土壇場で、王者・名古屋がリードを奪った。

　王者・名古屋をよく追い詰めた大阪だったが、ここまでだった…。３－２、前田の決勝ゴールを守った名古屋が、ホーム開幕戦で、今季最大のライバルと目される大阪から、貴重な勝点３をもぎとった。

　浦安がメンバーの入れ替わりとともにチームを再構築する中、今季、名古屋と優勝争いをすると見られる大阪。Fリーグの"新クラシコ"とも呼べる一戦は、内容の濃い、見応えのある一戦となった。

　今後の両雄の対決も楽しみとなったが、チーム数とセントラル開催数の関係で、名古屋はホームで２回、大阪と戦う。

　チーム力を上げてきたという大阪だが、この試合を見る限りでは、まだまだ決定力、さらにはゲームを動かす選手の駒数で、名古屋に溝を空けられているように感じた。名古屋とアウェイで二度戦わなければいけない大阪が、このビハインドをひっくり返して、アウェイで名古屋から勝利を掴むため、リーグの優勝争いに絡むためにには、さらなるレベルアップが求められているのかもしれない。