九州リーグ４節 SPORVA21×BORK KITAKYUSHU

九州フットサルリーグ第４節・第１試合SPORVA21×BORK KITAKYUSHU

日時：2009年７月５日(日)
会場：佐賀県総合体育館

今季１部に昇格して、いきなり優勝戦線を賑わしているボルク

不調の声もありながらも、開幕から堅実に勝ち星を積み重ねるスポルバ

　２節を終えた時点ながら、２勝で１位のスポルバと、１勝１分で２位のボルクの首位攻防戦。土日の４戦で最も注目のカードがこの試合だった。

　長年、九州フットサルをリードするスポルバについては、あえて説明は不要だろう。
　ボルクの方は今季から、１部に昇格してきた新進気鋭のチーム。開幕節では昨季２位のR.Dを５－１で撃破し、"九州戦線、異常あり"を告げた。

　試合はスポルバのキックオフに、ボルクが激しくプレスをかける"好戦的"な立ち上がり。ただし攻撃に関しては、スポルバが11.加藤らが積極的にドリブルを仕掛けるのに対し、ボルクは遠目からのシュートが目立つなど、セーフティーな印象。

　スポルバのディフェンスは基本ハーフから。ボルクは機を見て前からプレスをかけるが、スポルバの回避がうまく、試合を通じて、このプレスが効果的に機能しなかった。これがボルクにとってはひとつ、リズムを掴み切れなかった要因となったのではないか。

　緊迫した攻防が続いていたが、均衡が破れたのは14分。先手を奪ったのはスポルバ。右サイド11.加藤からの折り返しを、ゴール正面で６.永野が合わせ、１－０。

　ボルクは自分たちの時間帯もあり、そのままのフットサルを続けていれば同点・逆転の展開も見えるように思えたが･･･。１点を先行されると、攻撃が前・縦に急ぐようになり、試合のリズムが変わっていく。１点のビハインドなら、丁寧につなぎ、守備が綻んでからシュートを打つ、丁寧なフットサルを、個人的には続けて見たかった。

　スポルバゴレイロ23.竹内の攻守もあり、スポルバ(10本)のシュート数を６本上回りながらも、ボルクは前半ノーゴール。０－１で折り返す。

　フットサルは"恐い"スポーツだと思う。
　勝敗の行方がわからないままハーフタイムを迎えたが、後半は序盤で一気に、試合の大勢が決してしまった―。

　油断したわけではないだろうが、開始２分で、ボルクは２点を連続で失う。

　21分、左サイドタッチライン際からの13M近いフリーキック。スポルバは強力キッカーの12.百田が直接決めて、２－０。さらに22分には３.本村がヒールで落としたボールを走り込んだ15.中原がダイレクトで決めて、３－０と一方的にリードを広げる。

　この間にもボルクは10.末永一博と、７.末永一貴の兄弟がワンツーでうまく抜けたチャンスがあったが、最後のサイドチェンジはシュートに持っていけなかった。

　リードしたスポルバの方は守備も積極的になり、ボルクの元気が無くなったように見えるほど。ボルクは不運も重なり、ゴレイロが負傷で、17.山根に代わって、１.中村が出場することに。

　それでも27分、ボルクはカットボールを持ち込んだ15.中島勇太が、ゴレイロと１対１になり、体勢を崩しながらも、シュートを決めて、１点を返す。決めたキャプテンの中島は、バク宙のゴールパフォーマンスで、サポーターも湧き、一気にムードがボルクに傾く。
　ボルクは35分、15.中島勇太が中央から右に出したボールを５.中島翔太が決めて、２－３。ついに１点差に詰め寄った。

　しかし直後のキックオフ―。息を吹き返したボルクがスポルバのキックオフに群がるようにプレスをかけ、ボールを奪取するも、奪い返したスポルバ12.百田がスルスルとドリブルで駆け上がる。守備の出足が早くなった分、逆をつかれると切り返しへの反応が難しくなっていたボルクは、百田のカットインについていけず、右サイドから中に、マークを外した百田がシュートを決め、４－２。

　１点差に迫られた直後に突き放す、効果的な"重い"１点を、王者・スポルバが奪う―。体勢を崩しながらシュートを放った百田は寝転がったまま、ガッツポーズで、快心のゴールを喜んだ。

　36分にはキャプテン14.牧野が追加点を挙げたスポルバは、終わってみれば、５－２。３点差をつけ、新興・ボルクを退けた。ボルクは10.末永一博をゴレイロに、パワープレーに出たものの反撃ならず。王者の前に"力負け"の感もある、苦い一敗を喫した。

　２ゴールを上げたスポルバ11.百田選手は「得点に関しては意識してなかった。４点目は後ろのサポートがあるのもわかっていたが自分で行った。落ち着いて判断できたのが良かったと思う」と、ボルクにトドメを刺したゴールを振り返る。「後が楽になるかどうか―。負けられない１戦だった。ディフェンスがずれていたり、相手のペースに乗ってしまった」と修正点を挙げ、「応援してもらったり、スポンサードしてもらっているので、恥ずかしい試合は見せられない」と、プライドをのぞかせた。

　後半の立ち上がりの「セットプレー直接が痛かった」とは、ボルク小原監督。「普通に負けましたね。甘くない」と王者との試合を振り返った。「途中、(点を)取らなくてはいけないシーンがたくさんあった。そこのレベルを上げていかないと」と修正点を挙げるつつも、「僕らはスポルバにはなれないので、僕らのやり方で戦う。"うまい"ではなく"強い"チームを目指したい」と抱負を語る。「簡単じゃない。けど正直面白い。去年は勝つ気、勝てる気満々で会場に居た。今年は常に"どうなるやろう"という気持ち。ワクワクドキドキしながらベンチに座っている」という気持ちは小原監督のみならず、選手たちにも共通する感覚だろう。"やるか、やられるか"スリリングな戦いで揉まれたボルクが、また大きく成長することは間違いなさそう。

　「２点差にされたところで、逆に若さが出た。(気持ちが)前・前になってしまった」とはボルクキャプテンの15.中島勇太選手。「前半１点取りたかったのが正直なところ」と、この日の試合を振り返る。それでもここまで１部リーグの試合を３つこなした中で、「手応えは全然感じる」と言う。決めるべきところを決める点については「ゴール前の落ち着きが必要。ここまで点も取ってきたが、決定率では悪い。大事に落ち着いて決めれるように」と課題を挙げた。「今年からは女子、ジュニアチームも立ち上げ、スポンサーもついていただき、環境も整う中でやらせてもらっている。応援に恥じないよう、練習から集中してやっていきたい」こちらも早くも王者に負けない、自覚とプライドを備えていた。