浦安が圧勝！適したプレーの遂行/Fリーグ最終節レポート

浦安が圧勝！適したプレーの遂行

神戸は、前節に続きまたも決定力不足に悩まされた。「（ゴール前で）惜しい場面もあったが入っていないのが現実。決定機に決めたのが浦安だった。そこが神戸と上位チームとの差」と泰澤秀幸監督は課題を口にした。シュート数を比べても、浦安の１８本に対して神戸は４６本と神戸が圧倒的に攻めていたのは明らかだった。だが、「フットサルで勝敗を決めるのはボール支配率ではない。（この試合では）適した時間帯に適したプレーを選択することが重要となった」と浦安のシト監督が指摘したよう、引き気味の展開から相手のミスを逃さずに確実に得点へと結びつけた浦安が快勝。逆転優勝のかかった大一番の試合でプレッシャーを跳ね返し、得点を重ねていった浦安と、点差を広げられ纏まりを失っていった神戸とのメンタル面の差が勝敗に表れた試合となった。

先制点を挙げたのは浦安だった。２分、右サイドの中島孝が中に切り込み、ゴール前の平塚雅史へとパスを出すとゴレイロの隙を突いたシュートが決まる。先制を許した神戸は西谷良介をピヴォに置くと、次々と西谷にボールを入れ攻撃を活性化させる。ボールを圧倒的に支配する神戸は、西谷の弾丸シュートに加え、須藤慎一や脇真太郎が何度も枠を捉えたシュートを放つも、これを浦安の川原永光に止められ同点ゴールは生まれず。前半を１－０で終える。

後半に入ると、早々に浦安がゴールネットを揺らした。藤井健太からのパスを受けた清水誠が追加点を挙げると、２８分には美しいパス回しから稲葉洸太郎が決め３－０と浦安が神戸を引き離す。「個人技で攻めてくるような展開になることを望んでいた」（シト監督）と点差を広げた浦安が、個人技で攻め上げる神戸に対して作戦通りに試合を進めていく。試合が終盤に差し掛かると、神戸は攻撃的なセットを組み得点を狙いにいく。須藤や脇が積極的に中への突破を試みるが、浦安はＦＰの４人全員が連動する守備を展開すると、神戸に決定機をつくらせない。その結果、神戸は遠い位置からのシュートが増え、得点も遠くなっていった。３８分、神戸はブルノのシュートをファーに詰めた伊藤雅範が押し込み１点を返すが、決定力不足が響き３－１と浦安に完敗した。

この日は全試合が同時刻に行われ、優勝争いをしていた首位の名古屋が大分に勝利。２年連続で優勝を果たすと、浦安は２位で今シーズンを終えた。試合後、浦安の藤井は「最後は気持ち良く終りたかったので、最終節で勝利できたことは良かった。ただ、年間を通して考えると（優勝できなかったことは）悔しい」と語った。自力優勝の可能性はないが、逆転優勝を信じて臨んだ最終節。試合後、サポーターに挨拶をする浦安の選手の目にはうっすらと涙が滲んでいた。キャプテンの市原誉昭は「長いシーズンを戦っていれば悪いときもある。名古屋は悪い中でも勝ったり、引き分けていた。僕らはそれができなかった」と今シーズンを振り返った。今季は名古屋に勝ち越しただけに、下位チームとの試合で敗戦したことが悔やまれるシーズンとなった。だが「最後まで持ちこたえて優勝争いができたことは成長に繋がった。この経験を活かして、来シーズンも頑張りたいと思う。次は優勝しないと」と藤井が言うように、３巡目に勝利を重ね優勝の可能性を残したことが、選手たちの自信に繋がったことは間違いないだろう。
一方、ホームで敗戦を喫した神戸には厳しい結果となった。終始ボールを支配すると、４６本のシュートを放つなど圧倒的に攻めてはいたが、決定機に決め切れず逆に失点を重ねてしまった。「神戸は個々の能力は高く、他チームに引けを取らないと思うが、それを試合で出せない選手が多い。２巡目、３巡目はメンタル面のモロさが出た。来季は精神的なたくましさをつける必要があると思う」と泰澤監督は語った。最終節は、勝利への信念を貫きチーム力の強さを発揮した浦安の快勝で幕を閉じた。

レポート・福原まりこ

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