近鉄が遅ればせながら今季初勝利！/関西リーグ４節

　近鉄がカンカンに３－０と完勝。長かったが４節目にしてようやく、今季初勝利をあげた。

　近鉄の先制点は前半３分。２点目が38分、３点目が39分だから、１－０のまま35分近くが経過したことになる。３点差はついたが、近鉄はこの日も楽なゲームではなかった。

　裏にスペースを空けると得意のカウンターに使われてしまう危険性もある相手。それでもこの日、近鉄は前から積極的にプレスをかけて試合の主導権を掴みに行く。フィクソから精度の高いパスを出す「塩さん(２.塩谷)に自由に蹴られたくなかった。若い選手が信じて走ってくるので」(14.大塚)というのが、その理由。

　近鉄の先制点はこの"積極策"が功を奏する。
　３分、カンカン陣内でのカンカンボールのキックイン。近鉄は前３枚がマークにぴったり張り付き、パスを出させない。苦し紛れに前線に放り込んだボールを15.三宅がカットして、持ち込み、シュート。これが近鉄の先制ゴール。

　近鉄はその後も圧倒的にボールを支配。攻め手に乏しいカンカンは10.吉川、20.島津らがドリブル勝負に入ったところを、体を寄せられて、潰される感じ。前半のシュート数はカンカンが20本、近鉄が23本と差はなかったが、内容で言えば、カンカンの決定機は数えるほど。
　19分のビッグチャンス、15.山内、17.銘苅とつないで、銘苅がフリーではなったシュートも近鉄ゴレイロ１.加藤がファインセーブで同点ゴールを許さなかった。

　後半も近鉄がボールを支配する時間が長い。カンカンは６分を切って前からプレスをかけ出すが、回避のうまい近鉄を前に、プレスがかかりきらない。体力的な問題もあってか、最後まで"前プレ"は効果的にかからず、カンカンは守備でもチグハグさを見せた。

　近鉄は残り２分から２得点。最少得点差の１－０、今季勝ち星なし。リードしていても近鉄は『勝てる』実感はなかっただろう。苦しい状況からチームを解放したのは、またしても20.稲田だった。

　２節目から無事メンバー入り。貴重な同点ゴールを含む２得点をあげると、続く３節では一気に出場時間も増え、チーム唯一の得点をあげた。そしてこの日はついにスタメンでの出場。徐々に、そして確実に、チームの信頼を得る稲田が18.野口とのパス交換から、２点目を奪う。
　さらに稲田は39分にも折り返しを左サイド、ダイレクトで合わせて、２点目。３－０とリードを広げて、カンカンボーイズを下した近鉄が、苦しみながらも、嬉しい今季初勝利をあげた。

　「頑張りました。楽には勝てない。ウチ(近鉄)は一番関西リーグが長い。毎年相手も研究してくるので甘くない」と、ホッとした表情で話してくれたのは近鉄14.大塚。「内容は決して良くなかったけれど、頑張りどころをこらえれば結果がついてくると言うことを、口ではなんぼ言ってもわからないと思うけれど、体験できたのが良かった」と、"耐えて"の勝利を評価。「これで変わってくれるかな？追い上げるためには今日ぐらい必死にやらないと」
　苦しんだ近鉄にようやくの白星。これをぜひ反撃のキッカケにしたい。波に乗るとどこも手をつけられない強さを秘めたチームが、勝率５割、得失点差もゼロに戻して、遅ればせながらスタート台に立った。

カンカンは10.吉川、20.島津らが時折鋭い突破を見せたのみ。攻撃が苦しい･･･

近鉄は今年36歳のベテランゴレイロ１.加藤のセーブにも救われ、完封ゲーム

この日も２得点の20.稲田。２点目は両手でVサインをつくってみせた

１勝２敗１分。負けがひとつ先行してしまったカンカンは９位転落。14.安田不在が響く

レポート・写真：北谷仁治

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